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就業規則とは

​ 就業規則とは労働者の就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について労働基準法に基づいて定められた規則のことをいう

就業規則とは、労働者にとっても使用者・雇用主にとっても非常に大事な取決めごとなのですが、労働者も雇用主も非常に軽く見ている部分があります。

実際に、労働者に会社の就業規則について確認して見ると、下記の様になります。

・就業規則が何かよくわからない。

・会社に就業規則があるのか分からないし、見たことも聞いたこともない。

・会社では就業規則を作ってあると聞いた事はあるが、見た事はない。

・就業規則を見た事はあるが、内容は何が何だかわからない。

・就業規則を渡されたが、読んでも解らないのでそのままで理解していない。

まあこんな感じです。

就業規則には、賃金や労働時間などの労働条件の他に、服務規律(会社で遵守すべきルール)、採用や退職の手順など、労使間(労働者と使用者の間)でトラブルになりがちな事項が広く記載されています。

労使間のトラブルを未然に防ぐという観点からは、できるだけ広く記載されていることが望ましいです。

実際は、それを読む労働者側から見れば、就業規則の内容が多くなればなるほど、内容を理解するのが難しく感じてしまうかもしれません。

しかし、就業規則は雇用契約書(労働契約書)の内容を補い、場合によっては雇用契約書の代わりになることもあるため、内容を確認しなければ、本当の労働条件を知ることはできません。

ですから、使用者・雇用主には就業規則の周知義務があるのです。

就業規則は、労使間双方にとっての決め事ですから、良くも悪くも記載内容次第と言う事になりますが、法に満たない部分、いわゆる最低基準の定めをしないと、その部分は無効となり、法が適用される事になります

事例・1

 例えば、賃金には最低賃金法と言う規制があり、各都道府県ごとの最低賃金が定められています。これは毎年更新されているので少しづつ賃金が上がっています。

 この賃金(時給)について、法で冷められている最低賃金が800円の地域の会社が、就業規則で時給600円と記載しても、その部分は無効になり、法の定めの800円が適用される事になります。

事例・2

 会社が、会社的にも社会的にも反する重大な違反や罪を犯した際に、労働者に対して懲戒解雇と言う非常に重い処分を科す場合がありますが、会社が就業規則に懲戒規定を定めていなければ、労働者に対して懲戒解雇は出来ないと言う事になります。

事例・3

 就業規則に転籍や出向についての定めがなければ、転籍や出向を命ずることもできません。個別の同意を行う会社もありますが、就業規則に定めた上での個別同意ですので気をつけなければなりません。

事例・4

 労働者への賞与について、正規社員や非正規社員・パート・アルバイトなど、各社員ごとの定めをせずに、全ての従業員に適用する就業規則で定めた場合は、パートだから賞与は支給しない(該当しない)とは言えず、正社員と同じ待遇で賞与を支払う事になります。

この様に、様々な取り決めを就業規則で行うわけですから、軽く考えていると大変な事になります。会社の重要な取り決めですから十分に検討して、またあらゆる角度からの視点で協議を重ねて素晴らしい就業規則を作ってください。

なお、取り合えずといって、他社の就業規則をよく確認もしないで使用した場合、痛い目を見るのは会社です。

※下記は、法規制はどうなっているのかを簡単にまとめたものです。

労基法第89条

(作成及び届出の義務)

常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない

労働基準法第90条

(作成の手続)

  1. 使用者は、就業規則の作成又は変更について、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。

  2. 使用者は、前条の規定により届出を行う場合、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。

労働基準法第92条

(法令及び労働協約との関係)

  1. 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。

  2. 行政官庁は、法令又は労働協約に牴触する就業規則の変更を命ずることができる。

労働基準法第106条第1項

(法令等の周知義務)

使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。

労働基準法第106条

(法令等の周知義務)

  1. 使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第18条第2項、第24条第1項ただし書、第32条の2第1項、第32条の3第32条の4第1項、第32条の5第1項、第34条第2項ただし書、第36条第1項、第38条の2第2項、第38条の3第1項並びに第39条第5項及び第6項ただし書に規定する協定並びに第38条の4第1項及び第5項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない。

  2. 使用者は、この法律及びこの法律に基いて発する命令のうち、(寄宿舎を運用している企業及び事業場において)寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則を、寄宿舎の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によって、寄宿舎に寄宿する労働者に周知させなければならない。

なお、「周知」とは、広く知れ渡っていること、広く知らせることという意味です。

周知の具体的な方法は、労働基準法施行規則第52条の2、及び、厚生労働省の通達によれば下記の通りです。

  • 各事業所において、労働者が常時、容易に確認できる場所に掲示する、あるいは、備え付ける。

  • 労働者に対して書面で配布する。

  • 各事業所において、労働者が常時、容易に確認できるパソコンなどの機器を設置する

就業規則が法的効力を有するためには、従業員代表の意見聴取、労働基準監督署への 届出までは必要とせず、従業員に対し、実質的に周知の措置がとられていれば大丈夫。と解するのが相当であるとされている。

​労基法第106条の周知義務には、下記項目について就業規則及び労使協定や労使協約で定めている場合は、周知義務が発生します。

  • 第18条(強制貯金)

  • 第24条(賃金の支払)

  • 第32条の2(1箇月単位の変形労働時間制)

  • 第32条の3(フレックスタイム制)

  • 第32条の4(1年単位の変形労働時間制)

  • 第32条の5(1週間単位の非定型的労働時間制)

  • 第34条(休憩)

  • 第36条(時間外及び休日の労働)

  • 第38条の2(事業場外労働のみなし労働時間制)

  • 第39条(年次有給休暇)

  • 第38条の4(企画業務型裁量労働制)

就業規則で定めた労働条件は、その事業場における労働条件の最低条件としての効力を持ちます。 

(第93条、労働契約法第7条)

 

就業規則に定める労働条件は、労基法に定める基準以上かつ合理的なものとしなければならない

就業規則は、使用者側が労働者代表からの意見を聴取するだけで一方的に作成できる点で労働協約とは異なります。

就業規則は、労働者の意見を聞く事になっているが、その意見を必ずしも就業規則に反映しなくとも良いという点も理解しなければなりません。

中には、労働者の反対意見が出るかもしれないと考えて、労働者からの意見を聞かずに「聞いたことにして」提出する会社もありますら、十分注意してください。

しかし、出来るならば労働者の意見を考慮しての反映が望ましいですが、反映が義務付けられている訳ではありません。

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Bruno Consul

​ブルーノ コンサル

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