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​労働契約と労基法の明示義務

 

 労働契約も「契約」である事に十分注意する必要がある。​

私たちは、何かを借りる時「賃貸契約」・何かを買う時「売買契約」など、自由な意思で契約しています。

同じように、「雇ってもらう時」「雇う時」に「労働契約」をします。

 契約は、「私的自治の原則」法律関係を規定する民法の大原則に基づき、国に干渉されず「契約当事者の自由な意思」で契約内容を決めて、自由に契約する事ができます。契約両当事者の合意で契約ができます。

 

 労働契約とは、使用者と労働者との間の、賃金や労働時間などの労働条件についての取り決めをいいます。

民法や労働契約法では、労働契約は「口頭契約」口約束でも「可」となっています。

必ずしも「書面による契約を義務付けていません」できる限り書面による契約が「望ましい」のようになっています。

 この労働契約を締結することにより、労働者には会社の命令に従って労務を提供する義務が生じ、会社はその対価として報酬を与える義務が生じます。  

 

 しかし、口頭契約ではどのような労働条件で合意がなされたのか、後のトラブルの原因となるおそれがあることから労働基準法では、採用の際に一定事項の労働条件について書面により明示することが使用者に義務づけられています。(労基法第15条)

 

又、労働契約の内容が労働基準法で定める基準に満たないときは、その部分は無効となり、同法に定める基準が適用されます。

(労基法第13条)

 ちなみに、労基法第15条に違反した場合は、労基法第120条に基づき、30万円以下の罰金が科せられます。

 労働者を雇い入れる時は、民法や民事法(労働契約法)では、書面は必ずしも必要とされていませんが、労基法では義務となっていますので、ここに十分気をつけねばなりません。違反すれば罰則の対象となります。

 尚、労基法第15条の労働条件通知書の明示では、パートタイム労働者も含めて、労働条件の明示も義務付けされています。

労働条件の明示事項(労働基準法15条1項、規則5条1項)  

 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなけ ればならない。

絶対的明示事項

 

① 労働契約の期間に関する事項

② 就業の場所及び従事すべき業務に関する事 項

③ 始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労 働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに交代制で 就業させる場合の就業時転換に

  関する事項

 

④ 賃金(退職手当及び臨時の賃金は除く。)の 決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び 支払の時期並びに昇給に関する事

 

⑤ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

相対的明示事項(定めがある場合明示)

① 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、 退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに支払 の方法並びに支払の時期に

    関する事項

 

② 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、 賞与及び最低賃金額に関する事項

 

③ 労働者に負担させるべき食費、作業用品その 他に関する事項

 

④ 安全及び衛生に関する事項

 

⑤ 職業訓練に関する事項

 

⑥ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事 項

 

⑦ 表彰及び制裁に関する事項

 

⑧ 休職に関する事項

なお、平成24年労働基準法施行規則の改正により、有期労働契約の締結にあたっては、絶対的明示事項の上記①及び⑤ほかに、「契約を更新する場合の基準に関する事項」を書面により明示すべきとされていますので、注意が必要です。

また、パートタイム労働者については、絶対的明示事項の上記①及び⑤に加えて、昇給、退職手当及び賞与の有無についても文書の交付による明示が必要とされています(ただし、労働者が希望する場合はファックス又は電子メールでの送信も可能。パートタイム労働法6条1項、同施行規則2条)。 

※書面を交付して明示する。(適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交 付することでもよい。)

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Bruno Consul

​ブルーノ コンサル

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