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内部通報制度と情報収集システム 2話

  • Kyコンサルタント
  • 2017年10月8日
  • 読了時間: 5分

 前話では、内部通報制度を「情報収集システム」と呼び換える話と、情報収集の意義は、その目的に「リスク管理」と「危機管理」があると言うこと。

それは「リスクの早期発見」と「危機の早期対応」の2つに分かれること。

そして、法違反・パワハラ・社内不正など様々な問題を情報として寄せられる仕組みを創る。と言う話しをしました。

 2話では、情報収集をした上で「企業のするべきことは何か?」について話しを進めていきます。

 以前は、企業における情報収集システム(内部通報)として寄せられる相談や通報の件数について、相談や通報・情報提供が少ない企業が「良い会社」「問題のない優良企業」と考えると言う傾向もありましたが、近年では一定数の通報が寄せられる方が「健全」という考えが主流になってきた。  企業内で多くの情報・通報・相談が寄せられている場合には、情報収集システム(内部通報制度窓口)の周知がなされ、その結果として情報収集システムがよく機能していると考えられる。

 それを、企業によっては、情報収集システム(内部通報制度)の過度な利用、言い換えれば「何でも通報してしまう」風潮になるのでは? 

 と懸念するところもあるが、それを規制してしまえは、また、物が言えない風通しの悪い会社に戻ってしまう事に留意する必要がある。  また、情報提供や通報・相談件数が「一向に減らない」「同じ情報」「同じ通報や相談」が続くような場合は、情報収集システムで得た情報を管理する「リスクの早期発見」と「危機の早期対応」に於ける管理が出来ていない事になる。

 簡単に言えば、情報が得られているのに「改善・是正・対策・対応」が出来ていない!

と言う事になる。

「改善・是正・対策・対応」が不十分であるといった状況であれば、過去の情報提供(内部通報)への対応(調査・改善・是正措置・対策・対応・フォローアップ)の中で管理システム(マネジメント)の信頼性が損なわれる事になる。  また、気をつけなければならないことは、調査の段階で情報提供者の氏名や所属情報が何らかの形で漏れてしまい、提供者の匿名性が損なわれ、情報を提供したことが周知の事実となってしまっていたり、情報提供者を快く思わない周辺者から提供者に対して不利益な取扱いがなされたりしていなかったかを確認する必要もある。

 では、実際にどのような情報提供が行われるかと言うと、一見情報提供としてイメージしやすい不正行為や法令違反に関する通報は意外に少なく、上司への不満・パワハラ・いじめ・残業・同僚の勤務態度あるいはセクハラといった人間関係に起因する情報提供が多い。

 しかし、これを分析すれば、実は法違反になっている場合が非常に多い事案である事に注意する必要がある。

ここから、今日のポイント!

 前話でも話しをしたが、関連法規は実に多く様々である。

それを全て網羅し管理するのは至難である。しかし、それを分散する(言い換えれば、役割分担をする)事で、効率よく「リクスの管理」法違反の確認と、改善・是正・対策・対応ができる。

また、危機管理として「法違反があった場合」は、早急に改善・是正・対策・対応ができる。

例えるなら、「上司から自分にだけ大量の仕事が指示され、毎日残業をさせられる。」と言う 相談と、情報提供・苦情が寄せられた場合。

考える点として

・いじめ

・嫌がらせ

・パワハラ

・仕事が遅い

・能力不足

・人間関係の不一致

・コミュニケーション不足

と言う情報が抽出できるが、これが出来ないリスク管理者であれば、大きな落とし穴がある。

 労働関連法規に照らした場合

「いじめ・嫌がらせ・パワハラ・仕事の一極集中など」は、労働者が、労働環境の悪化に耐えきれずに、「労働局や労働基準監督署」への通報が考えられる。

また、「自分にだけ大量に仕事を指示され、毎日残業をされられる」については、この状況から長時間労働(36協定)の危惧や違法残業・残業代未払いなどの「労働基準法違反」が考えられる。

 尚、労働者が、労基法違反を理由に「損害賠償や慰謝料請求」を民事で「訴訟」を起こした場合は、悪質だと裁判所が判断すれば、「付加金」と言う「ペナルティー金」まで「発生する」場合がある。

 これを考えた場合、

「上司から自分にだけ大量の仕事が指示され、毎日残業をさせられる。」

 と言う相談と、情報提供・苦情が寄せられた時点で、企業は「リスクと危機」の両方について判断し、早急に「改善・是正・対策・対応」をしなければならない。と言うことになる。

 以上労働者からの情報提供システムの運用と、企業・会社が行う「リスク管理」と「危機管理」について、話しをしてきましたが、簡潔に言えば、自社内で全ての管理を行う事ができれば、本来企業にとって望ましい姿であるが、それは前述した通り簡単なことではない。

 事実管理できなければ、相当なリスクを企業は抱えることになる。

 実際にそのリスクが顕在化して問題を起こしている企業も多いのが事実である。「リスク・危険・危機」の管理が出来なければ「できる方法を教えてもらう」と言うことになる。

 先に述べた、「役割分担」とは、法のコンサルを外注に使い、必要な時だけ関連法規の観点から管理(マネジメント)してもらう事を指す。または、役割分担で外部の協力を得るしかない。

 もしくは、出来るようになるまで外部の力を利用して、社内でシステム構築と管理(マネジメント)が出来るようになったなら、「自社内だけで運用する」と言う方法も選択肢として存在する。

 自社にとって、最良の方法を見つけて頂き、より良い企業を目指して邁進してもらいたい。


 
 
 

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